大阪地裁の「彫り師判決」で改めて見えた、刺青に対する社会の視線

2017年9月27日、大阪地裁において刺青や彫り師に関する今後を

大きく左右する可能性のある判決が出されました。

ご存知の方も多いと思いますが、大阪府吹田市内で

彫り師として活動していた人が逮捕され、

その罪状が医師法違反であったというものです。

彫り師という職業の歴史は古く、現在の医師法が制定された時よりも

前からあった職業なので、なぜ今更彫り師が罪に問われるのかという声が

上がったことでも話題をさらいました。

しかし、職業として人の体に針を刺す行為は医師や看護師が

注射をするのと同じように免許がないと行ってはならないというのが逮捕理由で、

大阪地裁の判決はそれを追認する形で、

「刺青を彫る作業は医療行為にあたる」と結論づけました。

医療行為に当たるということは、

医師免許がなければ彫り師の仕事をしてはいけないということです。

これまで長らく放置されてきた職業に突然このような法解釈の問題が

沸き上がったのは、やはり刺青を入れる人が多くなってきたことへの懸念が

背景にあるものと思われます。

つまり、判決は社会全体の刺青に対する冷ややかな視線や、

刺青を良しとしない世論に応じたのだと思います。

国によっては全く問題がないことであるだけに、日本人や日本社会が

刺青を受け入れていないことが改めて浮き彫りになったと言えます。

一旦は入れた刺青を、後になってから消したいと思う人は

全数の3分の1に上るというデータがあります。

これは相当高い数値ですが、そこにはこの判決が

示しているような刺青に対する社会からの冷たい目が

関わっていることは間違いありません。

この裁判は、彫り師側が即日控訴をしています。

つまりまだまだ裁判で争う姿勢を崩していないので、

高等裁判所でも納得のいかない判決が出た場合は最高裁判所まで行くでしょう。

そこでの判断が今後の彫り師の運命を決めることになりそうなので、

その経緯が注目されます。

刺青の除去は悩む前に専門家に相談を

若気の至りで入れてしまった刺青を消したくなった

(消さなければならなくなった)という方の中には、

長期間にわたって悩み続けていたということも少なくありません。

「なんで刺青なんか入れたんだろう」という後悔や、

「消そうと思って色々と試したけれど、全然効果が上がらない」

という効果に対するお悩みまで、さまざまです。

刺青を入れる時にはほとんど悩むことがなかったのに…

という方にとって大切なのは、まずは行動してみることです。

刺青を消して何も無かったようにする決定的な方法は存在しませんが、

目立たなくしたり、他の傷痕は残るものの消すことができる方法など、

現時点での医療技術で出来ることはあります。

巷には、「刺青を消すことができるクリーム」など、

自分でできる「刺青除去グッズ」があります。

主に海外の製品が多いのですが、これらの刺青除去グッズは

美白効果のある成分を配合したものがほとんどです。

つまり、刺青だけでなくシミやくすみなどを除去する効果が

刺青の除去にも応用できるのでは、というわけです。

その他にも、刺青の除去を謳っているサロンというものもあります。

値段の安さや手軽さ、ハードルの低さなどからついつい、

こういう方法に頼る人も多いのですが、

こうした方法には刺青を除去できる明確な根拠がありません。

特に刺青除去クリームの中には健康に悪影響を及ぼすような成分が

配合されている場合もあるので、肌に合わないなどのトラブルを

起こしてしまうと刺青の除去どころではなくなってしまいます。

こうして色々な方法を試しているうちに悩んでいる期間が長くなってしまい、

精神的な負担も大きくなります。

こうした負の連鎖を続けていても良いことは何もないので、

医療機関による解決を強くおすすめします。

医療機関にはいくつかの刺青除去治療法があり、

それらは全て根拠に基づくものです。

しかも医療機関なので肌の状態などを診断した上で最適な治療方法を

選択できるため、安全性が高いのも見逃せません。

自分の肌は、ひとつしかない大切なものです。

後悔のないよう、納得できる方法で刺青の除去と

向き合っていただきたいと思います。

医療機関で相談をして、ある程度の道筋が見えてきただけでも。

それまでのお悩みはかなり楽になるはずです。

刺青の「色」によって除去治療の結果が変わることをご存知ですか?

刺青は一種のアート作品でもあるので、美しい図柄を描き出すために

さまざまな色を使います。和彫りと呼ばれる刺青だと紺色と赤が

効果的に用いられているのが頭に浮かべられる方も多いと思います。

西洋のタトゥーでも同様で、カラフルな刺青は

まさにアート作品であることが感じられます。

刺青が入っている状態に満足している人であれば、

このカラフルな絵柄も納得の出来栄えだと思うのですが、

問題はその刺青を消したいと思うようになった時です。

広範囲に及ぶ刺青を除去するにはレーザー治療が現実的ですが、

その際に使用されるレーザー光線には色によって反応が

異なるという特性があります。

黒色、茶色、紺色といった色に対してはレーザーが強く反応をするので

刺青を消す効果も高くなります。

その一方でそれ以外の黄色や赤色といった目立つ色については

レーザー光線が反応しにくく、レーザー治療を行っても

その色だけが残ってしまうことがあります。

そこで、医療機関ではレーザーの当て方や出力を工夫します。

レーザー治療は何回にもわたって少しずつ色を目立たなくさせる治療なので、

その過程において色別にレーザーの使い方を工夫したりすることで、

複雑な色彩が使われている刺青も徐々に目立たなくなっていきます。

こうした部分にもレーザー治療の技術的な差が出やすいので、

医療機関で刺青除去の受診をされる際には柄をしっかりと診てもらって、

最適な治療方法のアドバイスを受けるようにしてください。

複雑な絵柄ほどすぐに結果を出すのが難しいので、

より長い目で最善の方法を考えるようにしましょう。