自分で入れた刺青だからといって簡単には消えません

刺青を自分で入れる人が、少なからずいます。

そのこと自体をご存知ない方にとっては、「そんなことできるの?」と

お感じかも知れませんが、墨汁と針を使えば不可能ではありません。

手の甲や指の間にちょっとしたマークを入れている人を

見たことがあるかも知れませんが、そういったワンポイントの刺青は

もしかするとその人が自分で入れたものかも知れません。

一般的に、プロの彫り師が入れた刺青は深く彫り込まれていて、

素人が自分でやった刺青は浅くしか入っていないと言われています。

しかし、これは「素人だから深くまで入れられないだろう」という推測に

よるもので、特に根拠のない見方です。

素人が自分で墨汁を入れていく場合、その加減が分からずとても

深いところに入れているケースも実際にあります。

彫り師はプロなので絵柄として美しく見えるように刺青を入れていきますが、

素人はその技術がないので深さがまちまちであったり、

絵柄も不自然になったりします。

そのため、「刺青を消したい」と思う人の比率としては、

自分で入れた人の率が意外に高いのです。

刺青があるだけで何かと不利になるのに加えて、

決して上手とは言えない刺青と縁を切りたいと思うのは人情かも知れません。

しかし、深さが一定でなかったり変則的な彫り方をしている可能性もあるため、

自分で入れた刺青だからといって簡単に消せるわけではなく、

むしろ難しいことも多いというのが医療機関側の見解です。

衛生的にも決して良いことではないので、

くれぐれも自分で刺青を彫ろうとはしないでください。

医療機関によって差が大きい刺青除去治療

刺青の除去に関するご相談やご質問をいただく中で、

「なぜ、医療機関によってこんなに料金や治療内容に違いがあるのか」

というものが多く見られます。

直接お受けしたご質問ではなくても、そのような趣旨の疑問は

多くの方がお持ちのようです。

最も大きな理由として考えられるのは、刺青の除去が自由診療であり、

保険が使えるような一般的な医療ではないからです。

「盲腸になった」という人が受ける治療はどこの医療機関でも

ほとんど同じですが、刺青を除去するという自由診療では、

医療機関によって考え方や持っている設備、技術がまちまちです。

だからこそ刺青除去治療を受けるにはクリニック選びが大切だと、

常々お伝えするようにしています。

全ての人に同じ治療法が有効であるはずはないので、

患者さんのご要望や刺青の入り方、広さ、色などを総合的に判断して

さまざまな選択肢から最適な方法を選びます。

この時点で、選択肢が少ない医療機関だとどうしても

そこでやっている治療法に寄せていくことになるので、

最適ではない治療法になってしまう可能性があります。

実績の多い医療機関であれば場数を多く踏んでいるので、

最適な選択肢にたどり着きやすいでしょうし、その根拠も十分あるでしょう。

だからといって選択肢が多ければ良いというわけでもありません。

選択肢が多いことで集客をしやすくなるので、

決して得意ではない治療法もラインナップしている可能性があります。

刺青除去治療は極めてデリケートな外科的医療です。

患者さんのご要望や刺青の状態をきめ細かく考慮した上で、

最適な治療法を丁寧に選ぶことが地道ではありますがベストだと思います。

料金についても、設備を充実させるために最低限の料金は必要だと思いますが、

やはり「始めやすい」「続けやすい」と思える価格設定であることは

重要だと思います。

なぜ、カッコいいと思って入れた刺青を消したくなるのか

そもそも論になってしまいますが、一旦はカッコいいと思って入れた刺青を

消したいと思う心境の変化とはどんなものでしょうか。

就職や結婚といったように社会との折り合いをつけるためなのであれば

何となく分かる気もするのですが、そうではなく自分の意思で

消したいと思う患者さんも多くおられます。

これらの患者さんによく見られるのが、

「一度はカッコいいと思って刺青を入れたけれど、

今はカッコ悪く見えるから」という理由です。

刺青をファッション感覚で入れる人は多いと聞きますが、

ファッション感覚なのであれば流行の変化やご自身の年齢、

好みの変化によって価値観が変わることも十分に考えられます。

服やメイク、ネイルなどがファッション感覚なのは、全く問題ありません。

いつでも取り換えが利くもので、嫌ならやめることもできるからです。

しかし、刺青だけはそうはいきません。

実は美容整形の世界にも、似たような話があります。

流行りの顔になりたいという思いで整形手術を受けたものの、

流行が変わってしまったので顔が気に入らないという事例です。

一旦入れた刺青は、簡単には消せません。ファッション感覚で入れた刺青を、

再びファッション感覚で消したいという方の多くは、

「もっと簡単に消せると思った」と言われます。

この点については、私たち医療に関わる者がもっと情報を

発信していくべきことだと感じています。

ファッション感覚でオシャレをするのは大切なことですが、

自分の身体はひとつしかないことを改めてよく考えた上で

刺青を検討することをおすすめします。