有名人、芸能人の「刺青リスク」を考える

有名人や芸能人には、「刺青リスク」「タトゥーリスク」と呼ばれるものが

あるそうです。本人が特に公言していないものの、

テレビ番組などで刺青(タトゥー)が写り込んでしまい、

それが疑惑という形でネットで流布することがしばしばあります。

ここでは実名は敢えて触れませんが、その形でネット上の不評を買ったり、

疑惑のまなざしで見られた芸能人は数え切れないほどいます。

特に、アイドルや好感度の高いタレントなど、

刺青とのイメージが結びつかない人ほど、

こうした話題が持ち上がると噂が流布しやすくなるように感じます。

ネット上の声には、「信じられない」「ガッカリした」というような

意味合いのものも多く見られるので、こうした人たちの中には

「刺青=イメージを悪くするもの」という考え方が根強くあるのだと思います。

例えば、プロレスの悪役レスラーなどで活躍した人がタレントになったとすると、

その人の肌に刺青があっても人はあまり不快に感じないでしょう。

しかし、AKB48のようなアイドルグループに所属していた人が、

たとえ元アイドルとはいえ刺青を入れていることが分かったとしたら、

やはり心証を悪くする人が多いように思います。

この違いが何なのかと考えると、その人に刺青のイメージがあるかどうかです。

アイドルだからといって全員が清純派のイメージ通りな人ではないでしょうし、

まして元アイドルともなれば刺青を入れようが入れまいが

本人の自由だという言い分も理解できます。

しかし、世間の評価はそうではないということですね。

ここでは架空の例え話のように述べましたが、

実はここで紹介した2人は実在する人です。

名前は伏せておきますが、どちらもテレビでおなじみのタレントさんです。

どちらの人も刺青が入っていることは共通している事実なのですが、

そこまでの来歴によって評価に大きな違いがあり、

同じ刺青であっても世間の見方はこんなにも違うのかと思わされたので、

ご紹介しました。

日本は刺青除去手術の件数で世界第2位、では1位は?

国際美容外科学会が2016年に実施した刺青除去手術についての調査結果によると、

日本は世界で2番目に刺青除去手術件数の多い国としてランクインしました。

本職を通じて実感することとして刺青の除去を希望される方がとても多いので、

この2位というランキングにはあまり違和感はありません。

一時期の流行で刺青を入れる人が爆発的に増えたものの、社会的な逆風を感じて

消したいと思う人が多いという事情を考えると日本が「刺青除去大国」です。

さて、日本が2位ということでそれを上回る1位はどこだと思われますでしょうか。

答えは、インドです。

アメリカやヨーロッパの国ではないかと思われた方も多いかも知れませんが、

インドという少々意外な国が1位となっています。

インドはそもそも人口が多いので絶対数が多いという事情も

あるかも知れませんが。

ちなみに、1位のインドは年間の22860件、

そして2位の日本は20150件ということで、実は1位と2位は肉迫しています。

3位にランクインしているのがアメリカで14124件なので、

やはり1位と2位の件数の多さが突出しています。

なお、4位以下はイタリア、台湾、メキシコ、ブラジル・・・と続いていきます。

ここで注目したいのは、台湾です。

台湾ではとかく日本で流行ったものが流行りやすい傾向があると

言われていますが、もしかすると刺青についても同じことが

言えるのかも知れません。

ただ、社会的な刺青への認識という意味では日本よりも寛容なイメージが

あるので、日本と4倍近くの件数差があるのはその差かも知れません。

2016年の20159件という、日本で1年間に行われた刺青除去手術の件数に

どんな意味があるのかを考えてみました。

単純に365日で割り算をすると、毎日55件以上の手術が

行われている計算になります。

年末年始や色々な休暇を除くと1日当たりの件数はもっと多くなるでしょう。

刺青を入れていない人にとっては他人事だと思いますが、

これだけ多くの人が刺青の除去を実行に移しているということは、

手術に至らなくても何らかの方法で消そうとしていたり、

消したいと思っていてもまだ躊躇している人が相当数いることが

浮かび上がってきます。

今も根強く残る「刺青は消せる説」について

クリニックには、さまざまな理由や事情から刺青の除去を

したいという方がお越しになります。

最近はインターネットなどである程度情報収集をしてから

お越しになる方も多いのですが、これだけ情報が多い時代なのに依然として

根本的な部分で誤解が根強く残ってしまっていると感じることがあります。

もっともよくある誤解が、「刺青は治療によって消すことができる」

というものです。

まるで消しゴムで消すかのような感覚で、ネット上には医療機関で

刺青除去の治療を受けましょうという趣旨の記事がたくさんあります。

衛生や安全面、そして効果のことを考えると医療機関で

刺青除去治療を受けること自体は正しいのですが、

「サロンでは無理でも医療機関ならきれいに消せる」とまで

書かれているのは誤りです。

刺青除去にはさまざまな治療法があって、人それぞれに最適な治療法があります。

たとえその治療法がドンピシャにはまったとしても、

100% 跡形もなく消えるわけではありません。

そこには根本的な理由があります。

刺青は一度入れると一生消えないからこそ価値があるわけで、

すぐに消えても良い程度のものであれば

ペーパータトゥー(シールで貼るだけのタトゥー) で十分です。

それだけしっかりと彫られているものを簡単に消せるというのは、

少し考えただけでも非現実的であることがお分かりいただけると思います。

だからといって、「それならどこでも同じ」と考えてしまうのは、

これまた真実ではありません。

刺青の除去には切除法やレーザー治療、その他には植皮法など

さまざまな治療法がありますが、このどれを選択するのが最も

効果的なのかという判断をして、提案をするのは医師です。

医師それぞれの得意分野や技術レベルによって提案の内容も

変わってくることになるので、一言で「刺青を消す」といっても

内容にバラツキが生じるのは仕方ありません。

刺青の除去は「ここがダメなら次はココ」という具合に

次々とクリニックを変えて試していけるというものではありません。

最初の段階でどこの医療機関を選ぶかで結果に大きな違いが生じるので、

そのことを踏まえて初動を大切にしていただきたいと思います。