彫り師の有罪判決を受けて、業界団体が発足

大阪地裁で出された彫り師への有罪判決は、

現役の彫り師にとってとてもインパクトのあるものでした。

なぜなら、医師免許がない人が刺青を彫ることが

犯罪行為であると結論付けられたからです。

私も医師なので分かりますが、医師免許を取得するというのは

決して簡単なことではありません。

すでに彫り師として活動している人がこれから医学部に

入学をして国家試験を受けて・・・ということを考えると、

そのルートに現実味を感じている人はほとんどいないでしょう。

なら、どうするか?

今後顧客の依頼とはいえ刺青を彫るだけで医師法違反であると

断罪されてしまうのというのでは、商売として成り立ちません。

業界団体が発足したことには、こうした流れへの危機感が

相当あるものと思われます。

この業界団体の主張とは、医師法だけで判断するのではなく刺青という文化を

認めた上でそれを合法化する法整備をしようというものです。

確かに、彫り師という職業や刺青の文化は古くから存在します。

刺青を入れてほしいと思う人がいて、それに応えるプロがいるという関係性は

今に始まったことではありません。

刺青が社会からどういう目で見られるかということは別に、

刺青を入れたい人と入れる人という関係は昔からあります。

もともと、彫り師の世界はあまり表に出てくることはありません。

「カリスマ彫り師」という人がテレビなどに登場するわけでもありませんし、

どこに行けば刺青を入れてくれるのかということを

誰もが知っていることもないでしょう。

このことが一層、彫り師という職業を裏社会と関連付けて捉える人が

多くなる原因だと思います。

事実、アウトローの人たちの間で刺青は常識となってきて、

それぞれの組や組織に近しい彫り師という人たちもいます。

このような存在である彫り師の人たちが表に出てきて業界団体を結成、

法整備に向けて弁護士と協力をしながら活動をしていくというのですから、

時代は変わったものだと実感します。

業界団体としても全国に散らばっている彫り師の実態を

把握することから始めているようで、どれくらいの人数が活動を

しているのかすら分からない部分があるようです。

全てはこれからという彫り師の業界団体ですが、

刺青除去治療の現場で聞かれる後悔の弁に接していると

社会的な理解を得るための地道の努力が必要だと言えそうです。

中国で刺青を入れる女性が急増中

日本では社会からの冷ややかな目線もあって刺青に対する意識は依然として

ネガティブなものですが、中国では少々事情が変わってきているようです。

というのも、最近のニュースで中国人の特に女性の間で

刺青を入れることが大流行しているというものが出てきたからです。

もちろん、中国でも刺青に対する意識はそれほど良いものではありません。

文化的なルーツは日本と似ているので、刺青に対する意識も

日本のものと似ています。

しかし、報道によると中国全土で今やタトゥーアーティスト(つまり彫り師)は

20万人以上いるそうです。これはおそらく、日本の数百倍という規模でしょう。

日本と中国の人口比はほぼ10倍ですから、

その比率を考えると中国の刺青の流行ぶりが突出していることが分かります。

中国にも古くから刺青の文化があります。

昔は刺青を入れる刑罰があったり、その後はアウトローの人たちを中心に刺青を

入れる人が多かったというのですから、これってほとんど日本の感覚と同じです。

そんな感覚の中国で女性の間で刺青が流行っているというのですから、

日本で同じようなブームが起きているようなものです。

そう考えると、やはり時代は変わったものだと思わされます。

報道を見ても、かつての中国では刺青を受け入れる女性が

10%程度だったのに対し、今ではそれが70%ほどになっているといいます。

さすがに日本でここまで広く受け入れられているわけではないので、

最近の中国で起きている刺青ブームは明らかに日本とは別物です。

ただ、日本でもここまではいかなまでも刺青やタトゥーのブームがありました。

現在刺青を消したいという相談でお越しになる方の多くは、

ブームになった時に刺青を入れたものの、

その後の不利益や後悔によって消したいと思われている方々です。

もし同じことが中国で起きたとすると、20万人の彫り師が世に送り出した

「刺青の入った女性」の多くが刺青をやっぱり消したいということに

なるのではないかと危惧します。

その時に刺青除去治療の十分なキャパシティがあるのかどうかも分かりませんし、

それ以前にノウハウがなければならないので、

今の日本よりも深刻なことになるのではないかと思ってしまいます。

引退目前の安室奈美恵さんが刺青を除去?

昨年末の紅白歌合戦でも目玉として登場し、

いよいよ今年の引退が迫ってきている安室奈美恵さん。

言わずと知れた大スターですが、彼女には実の母親を

殺害されたという痛ましい過去があります。

苦労して育ててくれた母親への思いを体に刻むという意味を込めて、

腕には母親への思いと結婚当時に設けた子供の名前を形どった刺青が

入っています。彼女自身はそのことを全く隠す様子もないので

ファンならずともよく知られている話です。

いわゆるファッション感覚で入れるのとは違い、

痛ましい過去や離婚によって自由に会えなくなった息子さんへの思いを

体に刻むという思いはどことなく理解できるものがあります。

そんな安室奈美恵さんですが、最近になってその刺青を

除去したのではないかという噂があります。

もともと刺青があった場所の皮膚を露出しているDVD作品などを見ても、

刺青が見当たらないという噂がファンの間で囁かれるようになり、

あらゆる状況証拠を総合しても、どうやら腕の刺青は消えているようです。

刺青除去治療をする立場として興味があるのは、

あれだけしっかりと入っていた刺青をきれいに除去した点です。

どんなに高い技術や設備をもってしても刺青を完全に

消し去ることは不可能に近いので、何か他の工夫をして刺青が

目立たないようにしているのかも知れません。

もしくは、長い時間をかけてレーザー治療をしたということも考えられます。

ファンの間ではこのことがポジティブに捉えられており、

「暗い過去とようやく決別できたのでは」「歌で勝負する姿勢」

「引退を目前にしてあらゆる過去を清算するという意味かも」

といった声が飛び交っています。

これだけの有名人が刺青を入れたということがニュースになるのはもちろんで、

それを消したこともニュースになるあたり、

やはり安室奈美恵さんは今も大スターだということですね。

本当に刺青を除去したのだとしたら、引退と同時に完全に

芸能人ではなくなるという決意も含んでのことなのだと思います。

有名人、芸能人の「刺青リスク」を考える

有名人や芸能人には、「刺青リスク」「タトゥーリスク」と呼ばれるものが

あるそうです。本人が特に公言していないものの、

テレビ番組などで刺青(タトゥー)が写り込んでしまい、

それが疑惑という形でネットで流布することがしばしばあります。

ここでは実名は敢えて触れませんが、その形でネット上の不評を買ったり、

疑惑のまなざしで見られた芸能人は数え切れないほどいます。

特に、アイドルや好感度の高いタレントなど、

刺青とのイメージが結びつかない人ほど、

こうした話題が持ち上がると噂が流布しやすくなるように感じます。

ネット上の声には、「信じられない」「ガッカリした」というような

意味合いのものも多く見られるので、こうした人たちの中には

「刺青=イメージを悪くするもの」という考え方が根強くあるのだと思います。

例えば、プロレスの悪役レスラーなどで活躍した人がタレントになったとすると、

その人の肌に刺青があっても人はあまり不快に感じないでしょう。

しかし、AKB48のようなアイドルグループに所属していた人が、

たとえ元アイドルとはいえ刺青を入れていることが分かったとしたら、

やはり心証を悪くする人が多いように思います。

この違いが何なのかと考えると、その人に刺青のイメージがあるかどうかです。

アイドルだからといって全員が清純派のイメージ通りな人ではないでしょうし、

まして元アイドルともなれば刺青を入れようが入れまいが

本人の自由だという言い分も理解できます。

しかし、世間の評価はそうではないということですね。

ここでは架空の例え話のように述べましたが、

実はここで紹介した2人は実在する人です。

名前は伏せておきますが、どちらもテレビでおなじみのタレントさんです。

どちらの人も刺青が入っていることは共通している事実なのですが、

そこまでの来歴によって評価に大きな違いがあり、

同じ刺青であっても世間の見方はこんなにも違うのかと思わされたので、

ご紹介しました。

日本は刺青除去手術の件数で世界第2位、では1位は?

国際美容外科学会が2016年に実施した刺青除去手術についての調査結果によると、

日本は世界で2番目に刺青除去手術件数の多い国としてランクインしました。

本職を通じて実感することとして刺青の除去を希望される方がとても多いので、

この2位というランキングにはあまり違和感はありません。

一時期の流行で刺青を入れる人が爆発的に増えたものの、社会的な逆風を感じて

消したいと思う人が多いという事情を考えると日本が「刺青除去大国」です。

さて、日本が2位ということでそれを上回る1位はどこだと思われますでしょうか。

答えは、インドです。

アメリカやヨーロッパの国ではないかと思われた方も多いかも知れませんが、

インドという少々意外な国が1位となっています。

インドはそもそも人口が多いので絶対数が多いという事情も

あるかも知れませんが。

ちなみに、1位のインドは年間の22860件、

そして2位の日本は20150件ということで、実は1位と2位は肉迫しています。

3位にランクインしているのがアメリカで14124件なので、

やはり1位と2位の件数の多さが突出しています。

なお、4位以下はイタリア、台湾、メキシコ、ブラジル・・・と続いていきます。

ここで注目したいのは、台湾です。

台湾ではとかく日本で流行ったものが流行りやすい傾向があると

言われていますが、もしかすると刺青についても同じことが

言えるのかも知れません。

ただ、社会的な刺青への認識という意味では日本よりも寛容なイメージが

あるので、日本と4倍近くの件数差があるのはその差かも知れません。

2016年の20159件という、日本で1年間に行われた刺青除去手術の件数に

どんな意味があるのかを考えてみました。

単純に365日で割り算をすると、毎日55件以上の手術が

行われている計算になります。

年末年始や色々な休暇を除くと1日当たりの件数はもっと多くなるでしょう。

刺青を入れていない人にとっては他人事だと思いますが、

これだけ多くの人が刺青の除去を実行に移しているということは、

手術に至らなくても何らかの方法で消そうとしていたり、

消したいと思っていてもまだ躊躇している人が相当数いることが

浮かび上がってきます。